即興怪談話への挑戦
オウマガトキFILMのYouTubeのサブチャンネルにて、キーワードを3点与えられ即興で怪談話をする企画があった。
私は最後のトモさんのキーワードだけ即興で思いついた。
1話目のキーワード「サイレンの音」「片方だけのくつした」「ずぶぬれの女」語り手/T
2話目のキーワード「絵の具」「血のついたカマ」「口紅」語り手/ヒロ
3話目のキーワード「上半身はだかの男」「ケチャップ」「開かずの間」語り手/トモ
その思いついた話を書きます。
自分の実際の体験を混ぜないと話が続かないから、ある経験と混ぜて作りました。
同級生のタカシくん
小学生の頃、タカシくんという不登校の同級生がいた。
登校しているのを何度か見かけた程度で、会話をほとんどしたことがなかった。
ある日の放課後、友達から「タカシくんの家に行ってみない?」と誘われ、一緒に行ってみることにした。
タカシくんの家は古い団地の1室だった。
ピンポーンと呼び鈴を鳴らした時、隣にいた友達がいなくなっていた。
「わっ、やられた」と思うもドアがガチャと開き、タカシくんのお母さんらしき人物が出てきた。
仕方なく「タカシくんはいますか?」と尋ねた。
不審そうな感じで見られていたが、タカシくんの友達と思ったのか、急に笑顔になり「どうぞどうぞ」と部屋の中へ案内された。
台所のテーブルの椅子に座らされ「タカシの友達が家に来たのは初めて」と歓迎された。
そこには母親とお婆さんらしき人物、そして満面の笑みのタカシくんが奥から現れた。
不登校なのに、病気らしい感じではなく「遊ぼ!遊ぼ!」と言ってくる。
テーブルには次から次へとお菓子やジュースが用意された。
できることなら、すぐにでも帰りたかったが、そんな雰囲気ではなかった。
お菓子やジュースをいただく間もずっとタカシくんは「遊ぼ!遊ぼ!」と言ってくる。
正直「最悪だぁ」と思いつつも逃げ出すことはできなかった。
お婆さんに話しかけられ、そちらを向いた瞬間、タカシくんが両手でケチャップの容器を握り、私に向けてパコっと潰してケチャップをかけてきた。
驚いて、タカシくんの方を見たら「ケタケタケタ」と笑っている。
上着はケチャップまみれになった。
お母さんが「何やっているの!」とタカシくんを叱り、私に「ごめんなさい、洗うから脱いでくれる」と上着を脱がされた。
上半身はだかになり、タカシくんの服か何か着替えを持ってきてもらえると思っていたが、何も用意されず、上半身はだかのまま立たされ続けた。
タカシくんに「何か着るもの貸してくれる?」と尋ねると「こっちにあるよ」と奥の方に連れていかれた。
だが、襖の前で「でも、ここは開けてはいけないんだよな」と言い、黙ったまま襖の前に立ちつくしている。
「はぁ」とため息をつく私に急激な眠気が襲ってきて、遠くの方でタカシくんが「大丈夫?」と言っているのが聞こえた。
そのまま眠ってしまったみたいで、目を覚したら布団の中にいた。
外は暗く、夜になったみたいだ。
私は上半身はだかのままだったけど、夜なら外を歩いてもあまり見られないだろうと思い、部屋を飛び出した。
その時、開けてはダメと言っていた部屋から「パチパチパチ」という音が聞こえてきた。
私は玄関から外に出て、薄暗い道を走って自宅へ帰った。
心配した両親がいろんな友達の家に電話をかけていたみたいだった。
次の日、小学校へ行って、私を誘ったのに急にいなくなった友達に「昨日はひどいじゃないか!」と怒ったら、何を言っているの?という顔で見られた。
昨日の出来事を説明したら、友達は誘っていなく、私が急にいなくなったので心配していた様子だった。
そして「ところでタカシくんって誰?」と尋ねてきた。
放課後、私はタカシくん団地へ行ってみました。
タカシくんの部屋の壁周辺は黒ずんでおり、以前、火災があったようだ。
後日、聞いた話ではその部屋で老人が1人焼け◯んだということ。
あの「パチパチパチ」という音は、火が燃えている音だったと気が付いた。
おしまい
あとがき
この話は小学生の頃、知的障害のタカちゃんの話と混ぜ合わせました。
友達と2人でタカちゃんの家に遊びに行ったら、タカちゃんのお母さんとお婆さんに歓迎された。
だが、夜9時頃にタカちゃんが私の家に遊びに来るようになり、恐怖を感じるのだった...。
なぜか暗い庭に私を誘導し「これから遊ぼう」と小声で言ってくるが「いや、もう暗いし、夜は遊べないよ」と説得するのが大変だった。
開かずの間はアヤフヤで終わらせていたが、ヒロくんが「真相は闇の中はヤメてほしい」とのことだったので、開かずの間の音と後日談は付け加えました。
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